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中小企業のBCP

中小企業こそBCPが必要

BCPは財務戦略問題

事業が中断するということは売上と収入が激減またはゼロになるということです。一方で支出は待ってくれません。買掛金は期日に支払わなければなりません。電気・ガス・水道代だって、地震でストップしていても支払わなければならないでしょう。従業員の給与支払も必要です。

このように事業継続とは財務戦略の問題でもあります。経営者は常日頃キャッシュフロー(資金繰り)について注意を払っているでしょう。このキャッシュフローがありえないほど激減するのです。キャッシュイン(収入)が限りなくゼロになり、キャッシュアウト(支出)が日常の支払いに加え、復旧のための費用が乗ってきます。BCPでは目標復旧時間を定めます。どのくらい事業が中断すると顧客や取引先が離れていくかで考えると言われますが、まず自社のキャッシュフローが破綻するのは事業停止後何日なのかを考えるべきです。これを無視して営業的な影響をあれこれ考えてもしかたがありません。

キャッシュフローを破綻させないためには手持資金を厚くするしかないのですが、それができれば日頃の苦労はないでしょう。財務基盤の弱い中小企業ほど、事業復旧を適切に最短で進めなければなりません。

災害時のキャッシュフロー

事業継続は社会的責任

企業は他の企業や私たち消費者にとって有益な製品を作り、またサービスを提供します。企業は社会に役立つ価値を提供し、その対価として売上と利益を得ます。そしてその利益をもって再投資を行い、より良い価値を私たちに提供します。このように社会に必要とされる企業には事業を継続し続ける社会的な責任があります。事業が止まってしまっては社会が困るのです。


また、事業を継続することは従業員の雇用を守る面でも重要です。企業が被災したということは、そこで働いている多くの従業員も被災者となっています。個人の場合も企業とまったく同じです。家や車などの資産を失い、衣服や食材など日用品を喪失し、あるいは家族が傷ついています。そういう状態で収入まで途絶えてしまっては、自立した生活をしていくことはできません。企業は雇用を守り従業員の生活を支えながら、事業を復旧して社会的な責任を果たすことが求められています。

事業継続力が取引先の評価につながる

中小企業が大企業や中堅企業と初めて取引をする際、過去数年分の決算書の提出を求められることがあります。金融機関から融資を受ける際も、決算書や経営計画の提出が必要です。では取引先や金融機関はどうして決算書の提出を求めるのでしょうか。発注側企業の立場を考えると、たとえば部品を仕入れるなどの新規取引を行なう場合は、相手先企業に部品の供給を大なり小なり依存する訳ですから、将来に突然相手先の事業が立ち行かなくなっては困るのです。ですから取引を始める前に決算書を見せてもらって、将来にわたって事業を続けていくだけの利益力があるか、十分な支払能力を持ち倒産危険度が低いかなどを評価しているのです。言い換えれば、この企業から(こちらが中止しない限り)半永久に部品を仕入れることができるのか、相手先企業の事業継続力を評価しているのです。


これからの取引先の事業継続力評価には、BCPを持っていて機能しているかが加わるようになると考えられます。災害に脆弱な企業との取引はリスクが高いからです。

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